4月中に進む予定だったところのノートを先行公開しておきます。予習したいひとはどうぞ。私個人的にはこのへんからわくわくが止まらない単元なので、授業でかっ飛ばすのが悲しい。現代よりも、よりシンプルな国家間の駆け引きが面白い。そんな近世、主権国家体制の成立いってみましょー。
そもそも主権国家とは何ぞや、というところから。抽象的ですが、簡単に言うと明確な領土と主権が存在する国家のこと。主権とは、人間で言う脳みそ。国という身体をどうやって動かすのか決定できる権限です。現代では主権は国民におかれますが、この時代の主権者はまぁ君主です。国によっては国王だし皇帝でもある。絶対王政なんかはまさに国王が主権をもつ国家体制です。
絶対王政といえば官僚制と常備軍。王権神授説(国王の権力は神に与えられたもの)を背景に絶大な権限を握り、国家を運営していきます。国と国、という観念から協力・対抗しながら外交や貿易が展開されるのもこの頃から。
さて、国家間の協力・対立が広がるヨーロッパを見ていきます。まずはイタリア。イタリアは教皇領と小国家の分裂状態にあり、これに介入する諸国家の戦場となっていきます。フランスのイタリア侵入に対し、もともとイタリアにご執心の神聖ローマが異を唱えはじまったイタリア戦争はイギリスなども巻き込んで激化していきます。このフランス王家VSハプスブルク家は今後のヨーロッパの対立軸として重要です。
ハプスブルク家は婚姻政策からスペイン王家も継承します。カール5世がカルロス1世として即位しますが、オスマン帝国の進出・フランスとのイタリア戦争と混乱は続きます。次のフェリペ2世がレパントの海戦でオスマン帝国を破り、さらにポルトガルを併合したことでスペインは「太陽の沈まぬ国」を実現しました。しかし、オランダの独立や無敵艦隊が対イギリス戦で敗北したことなどにより、制海権は失われていきます。
一方、独立したオランダはアムステルダムを中心に中継貿易で繁栄し、イギリスは囲い込みによる毛織物工業により経済発展を遂げます。フランスも宗教対立で国内は混乱しますが、アンリ4世が即位し、ナントの王令で信仰の自由を認めたことで一応の解決を実現します。アンリ4世にはじまるブルボン朝は、ルイ13世・ルイ14世と絶対主義の君主を擁立し中央集権を進めていくことになります。
さて、この時期のヨーロッパで落としてはいけないのが三十年戦争です。ヨーロッパは「17世紀の危機」とも呼ばれる凶作・不況・疫病・人口の停滞などによる困難な時期に突入していました。…今の世界情勢をみると笑えない話ですけども。
そんな社会情勢の中、宗教対立からドイツで三十年戦争が勃発します。アウクスブルクの和議はね、知っての通り不十分なものだったので。ベーメンでおこったカトリック強制に対抗する反乱はドイツ全土に拡大し、さらには周りの国々も巻き込んで大規模化していきます。
まず大きな軸としての旧教VS新教。ここまでは宗教戦争なんですが、カトリック国であるはずのフランスがハプスブルク家に対抗して新教側で参戦するので、なんだかよくわからんことになってしまいます。さっきも出てきたフランス王家VSハプスブルク家の軸です。三十年戦争は宗教 → 政治に対立軸が動いていくのがポイント。
やっとのことで結んだウェストファリア条約でヨーロッパの構成は大きく変わります。大きなところでは、カルヴァン派公認、フランスのアルザス・ロレーヌ獲得、スイス・オランダの独立承認、神聖ローマ帝国の有名無実化でしょうか。ウェストファリア条約はドイツ領邦の主権を認めたので「神聖ローマ帝国の死亡診断書」とも。
北ドイツではプロイセンの急成長、ロシアのイヴァン4世による専制政治などこのあとのヨーロッパ情勢に影響を与える国が台頭してきます。
…ホーエンツォレルン家とかブランデンブルク辺境伯領とか唱えるの楽しい。
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